The TOYOTA WAY

The TOYOTA WAY

トヨタウェイ

ここでは、私達が求める人材像について、皆さんにより深く理解していただくために、トヨタが大切にしている価値観であるトヨタウェイについてご説明いたします。

全世界のトヨタ従業員が共有する価値観「トヨタウェイ」

トヨタウェイとは、創業以来、様々な経験をもとに形づくられ、「暗黙知」として受け継がれてきた経営上の信念や価値観を、誰にでも理解できるように整理・集約したものであり、トヨタで働く人間としてとるべき「行動原則」ということができます。トヨタには現在、世界27カ国で、30万人の人々が働いており、同じトヨタグループといえども、様々な価値観や文化、慣習が存在しています。しかしながらそうしたバックボーンの違いを越え、世界のどこであろうとも「トヨタのモノづくり」と「お客様満足」を実現するためには、こうしたトヨタ固有の信念や価値観をグループ内でしっかりと共有することが不可欠であるとして、2001年に現在の形として明文化されました。

トヨタウェイは「知恵と改善」「人間性尊重」の2本の柱で成り立っています。現状に満足せず、高い価値観を追求し、そのために知恵を絞りつづけること、あらゆるステークホルダーを尊重し、従業員の成長と会社の成果を結びつけること、この2つを常に念頭において行動することが、すべてのトヨタで働くものに求められています。また、この2つの柱は、『チャレンジ』『改善』『現地現物』『尊重』『チームワーク』の5つのキーワードに分けられます。

トヨタの歴史は、『チャレンジ』の歴史である

創業者、豊田喜一郎は、自動車の研究開発を始めるにあたって、こう言いました。「ただ自動車をつくるのではない。日本人の頭と腕で、日本に自動車工業をつくらねばならない」。そして1937年、トヨタ自動車工業株式会社(現トヨタ自動車)を設立。以来、トヨタは常に大いなるチャレンジを続けています。

たとえば1940~50年代の日本では、小規模なメーカーが外国の技術を借りてトラックを製造しているに過ぎず、乗用車を自らの手でつくる力は残念ながらありませんでした。そこでトヨタは「日本人の手で日本に自動車産業を興す」という志を掲げ、外国の技術に頼らない乗用車の開発に挑んだのです。そして1955年、日本初の本格的国産乗用車「トヨペット・クラウン」が誕生しました。

創業者 豊田喜一郎

1960~1970年代の高度成長期に入ると、人々は次第に豊かになり、「マイカー」は頑張れば手の届く存在になりつつありました。そうした時代だからこそトヨタは、品質が良くて低価格のクルマを一人でも多くの人に提供したいとの思いで、「日本にモータリゼーションを実現させる」というチャンレンジに挑みました。そして、1966年に国民的大衆車である「カローラ」の発表に至ったのです。

1980年代以降、日本の自動車産業は力をつけはじめ、国内だけでなく海外への輸出という新たな段階に入っていきます。しかし、こうした急速な産業成長はアメリカとの貿易摩擦という新しい問題を引き起こします。こうした難しい問題に対しトヨタは、「日本のモノづくりの力で海外に進出する」という方法で解決策を模索しました。1984年にGMと合弁でカリフォルニア州に生産拠点を設立し、1988年には北米初の単独生産拠点となるケンタッキー工場で生産を開始しました。日本人が築き上げてきた「トヨタのモノづくり」を、アメリカでアメリカ人の手によって実現する。このチャレンジは大きな成功を収め、現在のグローバル展開の礎となりました。

そして現在、トヨタは「世界中の人々にクルマの魅力を届け、地球環境と共存する」というチャレンジに挑んでいます。北米、欧州、中国・新興国、日本のそれぞれの地域のニーズに応えることで、人々の暮らしを豊かにしていきたいと考えています。また、技術面では、1997年に世界で初めて量産化されたハイブリッド車「プリウス」を先駆けとして、地球環境と共存するための次世代自動車開発や交通システムの開発にも、これまで以上に積極的に取り組んでいます。

その時代に人々や社会が求めることを最善の形で実現する。それがトヨタのチャレンジです。それは、トヨタが存在する限り決して変わらない、人々や地球に対して果たすべき責任でもあるのです。

「なんのために」を自ら考え、現実と理想のギャップを、地道に、愚直に埋めていく

ただし、ここで理解していただきたいのは、トヨタにおける『チャレンジ』とは、ただ単に自分のやりたいことに向かい、がむしゃらに突き進むものではありません。トヨタで働く人の『チャレンジ』とは、まずは、「それはなんのためか」を自分自身で考え抜き、その上で、あえて実現は厳しいと思えるほどの高い目標を自らに課すことから始まります。そうした高い目標を掲げる一方で、現実を直視し、自分のおかれた状況、つまり『身の丈』をしっかりと知り、目標と『身の丈』のギャップを、弛まぬ努力と工夫で、一歩一歩、埋めていくことこそがトヨタにおけるチャレンジなのです。

この「現状を直視し、自分の『身の丈』を知る」ことは、すなわちトヨタウェイの『現地現物』です。机の上や頭の中だけで考えたり判断するのではなく、実際に現場に足を運び、現場の事実に基づいて考える。問題を解決し、困難を乗り越えるための答えは、必ず現場にある、というのがトヨタの考え方です。また「弛まぬ努力と工夫を、地道に愚直に続けていく」ことはトヨタウェイの『改善』の考え方にほかなりません。高い目標だからこそ、その実現は一朝一夕に為すことはできない。地道な取り組みを愚直に一歩一歩積み重ねていくことが、理想や目的に到達する唯一の道であると、トヨタは確信しています。

トヨタでは、社員一人ひとりがこうした『チャレンジ』に日々取り組んでおり、そして、そうしたチャレンジを結集し、組織として、一人では達成できない大きな夢や志を実現しているのです。その際に必要になってくるのが、相手の考えを理解し異なる意見にも謙虚に耳を傾ける姿勢=『尊重』と、人材を育成し、育てた個々の力を集め、ともに大きな目標に向かうという心構え=『チームワーク』です。

「トヨタウェイ」とは、いつかそうなりたいという理想ではなく、また、かつてそうであったという記憶でもありません。創業以来、「よりよいモノづくり」を追求していく中で育まれ、現在まで連綿と受け継がれてきた社員一人ひとりの知恵や経験則を、誰もが理解し共有できるように明文化したものです。だからこそ、5つのキーワードは、一連の行動のあり方として、トヨタで働く社員一人ひとりの中に息づいているのです。