INTERVIEW

つながる、向き合う、一緒に走り続ける。クルマと同じぐらい、人が好きなんです。

技術職車両系 技術コースM.K

PROFILE

MS電子システム設計部

工学部卒 2007年入社

学生時代から制御に興味があり、「身の回りで一番大きなものを制御したい」と自動車を選んだ。中でも、トヨタ車の整然としたエンジンルームを見て驚き、「工具や手が入れやすく、メンテナンスが楽にできるように」という顧客サービスの視点に感動して入社を決めた。「クルマづくりはチームワーク。人と話したり、関わっていくことが好きなら、おもしろくてたまらないですよ」。

その開発は、四面楚歌の「説得行脚」から始まった

「やるべき?いや、やらなきゃ!」

心の声が聞こえました。入社3年目、メータ・スイッチなど電子内装部品の開発のために、他社のクルマをリサーチしていたときに気づいたんです。トヨタ車は、メータと、カーナビやオーディオなどのマルチメディアとの連携で、後れをとっている。メータは通常ドライバーの視界に最も入りやすい位置に、ナビなどのマルチメディアは、その少し下に配置されることが多く、両方を確認するには視線の移動が必要です。他社では、ナビが示す進行方向などもメータに表示するシステムがありました。しかし当時のトヨタ車はその機能が限定的で、ナビを確認しないとわかりづらいことが多く、またオーディオはメータとの連携機能すらありませんでした。運転中に見たい情報や、あれば便利な情報をメータのディスプレイに集約できれば、確実に安全性と快適性がアップするはずです。さっそく上司に報告し、開発のGOサインをもらいました。ただし、「マルチメディアのメンバーに意義を理解してもらい、協力してもらえるように自分で巻き込むこと」という条件付きで。

それからは、文字通り「四面楚歌」の日々。無理もありません。当時のマルチメディア部門は、ただでさえ急ピッチの開発に奔走していた上に、突然、別の部署の若造が仕事を増やす相談を持ちかけてきたのですから。さらに、マルチメディアといっても、オーディオ、ナビゲーション、音声認識など関わる人々は膨大。おまけに欧州、アメリカなど海外にいるエンジニアも。それでも諦められなかった。「これはトヨタとしてやらなければならない」。その強い気持ちを燃料に、私の説得行脚が始まりました。

いくつもの壁を乗り越え、手に入れた大切なもの

いくつもの壁を乗り越え、
手に入れた大切なもの

「純正ナビは、クルマ本体とつながって情報提供できることが強み。メータと連携すれば、取り付け型のナビよりメリットを感じてもらえるはず」「大掛かりなものではなく、できることから広げていきましょう」。そんな説得をこつこつ続けるうちに、首を縦に振ってくれる人が一人、また一人と現れ始めました。この企画を本気になって、一緒に考えてくれる仲間が増えていったのです。

いつのまにか、両方の部署に私の席が置かれ、午前はメータ、午後はマルチメディアのフロアへ。「橋渡し役になりたい」という一心で、デスクの固定電話機をかついで移動する毎日。「もう、あとには引けない。やり遂げるしかない」。実際に開発が始まり、想像以上にたくさんの人々が動き出すのを見て、そう思いました。メータとマルチメディアのメンバーで意見交換をしながら、「こういうことができたらいいよね」と商品企画をゼロから考えていく。試作一つでも、何百人ものエンジニアが関わっていく。「一緒にかたちにしましょう」と協力メーカーの方々も積極的に協力してくれる。いくつもの壁を乗り越えて製品化できたことも嬉しかったけれど、このプロジェクトで手に入れた一番大切なものは、そんな人たちとの出会いと信頼関係でした。

クルマの魅力を生み出すために、挑戦は続く

2016年に希望していた新車の内装電子部品を企画開発する部署に異動。メータやエアコンの操作パネル、各種スイッチなど、すべてをデザイナーと一緒に考え、開発していきます。

通常は効率やコストの問題で、上位機種に採用したものをそのまま使うことも多いのですが、「このクルマの『売り』にできる、何か新しいことに挑戦したい」と思うように。家電や時計、エンタテインメント機器など異業種の製品も参考にし、ピンときたのがクルマにはまだ使われたことがなかった装飾の技術。これをメータに採用できないかと考えました。特殊加工されたアクリル板の上から光を当てると装飾がぱっと浮かび上がり、運転席にデザイン性を与えてくれます。さっそく試作を始めたのですが、問題が浮上。構造上、メータにドライバーの顔が反射して映り込んでしまうのです。社内の人間工学の専門家も仲間に引き入れて、意見を交換しながら試作・評価・改良を回しました。さらに、デザイナーとアイデア出しをして、イメージ通りになるまでモックメーカーに何度も足を運び、微妙な色味や明るさをチューニング。改良を重ねながら、次のモデルへの採用に向けて現在も開発を続けています。「運転席に座るのが楽しくなる」。そんなふうに思ってもらえるように、内装部品は機能性や快適性はもちろん、クルマの魅力を生み出す大切な要素。一つひとつに設計やデザイナーのこだわりが込められているんです。

「やりたい」という気持ちが、私を動かす

「やりたい」という気持ちが、
私を動かす

「自動運転が実現していくと、クルマの室内空間はどうなるんだろう」。

今、それにとても興味があります。もちろん、完全に自動になるのは、まだ先の話ですが、確実にクルマのあり方は変わってくる。そんな中で、クルマはどんな情報を伝えて、何を人から引き出していくべきか。電子デバイスの果たす役割はどんどん大きくなるはずです。もっと美しく、機能的に。車内の情報を整理して、内装をデザインしていく。運転する楽しさも残しながら、クルマと人間がつながっていけるインターフェイスをつくってみたい。20年先、30年先のコックピットをかたちにしたい。そんな「やりたい」気持ちが、またむくむくと湧いています。

思えば、子どものころから負けず嫌い。目の前の山が険しいほど、登りたくなるのかもしれません。でも、私一人の力ではクルマはつくれません。これからも周囲を巻き込み、たくさんの人の力をもらいながら、トヨタにしかできない「オンリーワン」を生み出していきたい。私、クルマも好きだけど、人とつながり、一緒に走っていくことが、同じぐらい好きなんです。

所属は取材当時のものです。

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