INTERVIEW

走る、曲がる、止まる。
外観ではわからない床裏にプライドを。

技術職車両系 生技・製造コースY.H

PROFILE

MS車両品質生技部

機械物理学専攻修了 2009年入社

小さな頃から、ロボットやクルマなど動くものに興味を抱く。大きな会社組織の中で、自分自身の力がどこまで通用するか試したくなり、トヨタ自動車の門をたたく。入社後は、主に品質保証業務に携わり、2016年には経験を活かして、10年後を見据えた超軽量化ボデーの開発などを担当。

「走る、曲がる、止まる」にプライドを持つ

クルマの基本は「走る、曲がる、止まる」。これらは動的性能と呼ばれますが、お客様にお届けする以上、どんな環境や条件であっても、動的性能は保証されなければなりません。トヨタのクルマは世界中で使われていますから、砂漠を走るクルマもあれば、雪の中を突き進むクルマもある。減速一つとってもDレンジで行う人もいれば、ニュートラルでする人もいる。千差万別の環境や条件で、すべてにおいて動的性能を保証することは、実は簡単なことではありません。

普通に運転するには問題がなくても、ある環境や条件である走り方をした時にのみ、「ノイズや振動」といった不具合が発生する。そういった現象を洗い出し、原因を追究。「こういう風につくれば不具合は出ないよね」という条件を見極め、構造や工法に落とし込み、管理保障方法をつくりあげる。それが、私が担当している品質保証の仕事です。

特に動的性能をつかさどるのは、エンジンやトランスミッション、駆動を伝達するプロペラシャフトやシャーシと呼ばれる足回りなど、外観からは分からない部分。私たちは“床裏”と呼んでいますが、床裏がどのような精度管理や特性管理のもとでつくられ、組みつけられているのか。そのバラつき具合を、「ここまでなら大丈夫」と保証していくわけです。自動車メーカーである以上、「走る、曲がる、止まる」に対してプライドを持つべき。お客様にお渡しする時に、「どんな場合でも動的性能は大丈夫です」と保証することが、品質保証としての私のプライドです。

「データを粗末に扱うやつを、信用できるか!」

「データを粗末に扱うやつを、
信用できるか!」

仕事のプライドについて最初に痛感させられたのは、新人時代の大きなミスでした。とあるクルマの部品のバラつきを、机上で積み上げた予測値と実機(クルマ)の測定値を比較し、整合性を確認した時のこと。予測値は、計算シートのようなものを用いて、部品一つひとつの精度を測定して算出。結果、実機の測定値と一致。上司に「整合性が確認できました」と報告を終えて安心していました。ところがその後、予測値にミスがあることが発覚。過去に先輩が使った計算シートを私がよく理解せぬままに、そのまま使っていたことや、ろくに現地現物を見ずに机上で済ませていたことが原因でした。

上司は私に歩み寄ると大声でこう言いました。「品質保証は、データこそが信じられる事実だ。それを粗末に扱うようなやつを信用できるか!」。せっかく信頼関係が出来つつあった時に、このひと言は堪えた。ショックでしたが、データの扱いにプライドを持てないのは、技術者失格なんです。とにかく計算シートの間違いを修正、現場に行って多くの人に頭を下げて、測定作業を何度も見直し、やっと整合性の確認をとることができました。「よくやった」と上司から声をかけてもらった時、ようやく肩の荷がおりました。

一人の限界なんて知れている。みんなでやれば、限界は無限に変わる

もともと私は、入社まで大きな挫折もなく、順風満帆に生きてきました。要領もいい方だったので、そこそこ何でも自分一人でやれるだろうと思っていました。新人時代の大きなミスも、そういった要領の良さが裏目に出て起こったことかも知れません。

しかし、トヨタに入って出会う人はそれぞれに、自分とは違った秀でたところを持っている。まさに世界トップレベルの方がたくさんいるんです。独りよがりのプライドは捨てて、そういう人たちと一緒に組んでやったほうが、大きなブレイクスルーが起こせるんだと気づきました。自分一人だと、自分の限界が、成果の限界を決めてしまいます。今のアニメだって、主人公がいて、仲間がいて、大きな夢を実現していくじゃないですか。それが、様々なプロフェッショナルがいるトヨタという会社に入った意味だと思うんです。

品質保証の話に戻せば、私たちは計測を通じて、正しく物ができているか確認しなければいけない。でも、私たちは計測の技能を持っていないから、一切計測ができないんです。計測は工場の現場の方にお願いしますが、みんな正確でスピーディーな素晴らしい評価技術を持っています。私には到底真似出来ない技術で、まさに職人技。心から尊敬しています。そういう仲間がいるから、安心してお願いできる。彼ら彼女らが計測にプライドを持っているからこそ、私たちも「この人たちが測ったなら安心だ」と思える。プライドを持って仕事することが、信頼関係をつくり、いい成果を生み出していく。そう思います。

100年に1度の転換期。0から1を生み出したい

100年に1度の転換期。
0から1を生み出したい

「トヨタは歴史が長いから、1を10や100に拡大することは得意だろう。だったら私は0から1を生み出したい」と思っていました。自分自身、こつこつやるのが不向きということもありますが、今までにない企画を考えたり実行したりするのが、好きなんですね。

そして今、自動車業界が100年に一度の大変革期を迎える中で、電気自動車や自動運転など、クルマのあり方や構造自体が大きく変わっていこうとしています。きっと、品質保証自体の考え方や方法も、大きく変わっていくはずです。まさに、0から1を生み出すチャンスに溢れた時代がやってくる。そう思うと、わくわくします。時代の先を読みながら、スピーディーに先手を打っていく。お客様に安心できる品質のクルマをお届けできるように、新しい時代の「1」をつくること。それが品質保証としての、私の目標です。

所属は取材当時のものです。

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