INTERVIEW

プリウスを追いかけてトヨタへ来た男。その情熱が、次世代のモビリティ社会を切り拓く。

技術職パワートレーン系 技術・生技・製造コースS.I

PROFILE

パワートレーン先行機能開発部

結晶材料専攻修了 2003年入社

学生時代からクルマ好き。運転よりもいじることが好きで、最近は子どもも大きくなり自分の時間ができたことから、その熱が再発。特に電装部品のDIYにはまり、年式の古い自分のクルマに、リバース連動のバックカメラやパーシャルウィンドウなどの便利機能を自作して搭載している。プリウスに憧れてトヨタに中途入社し、4代目プリウスのパワーコントロールユニット(PCU)の開発を担当。現在は、次のモビリティ社会を切り拓くPCUの先行開発を手がけている。

プリウスの開発に携わりたい。21世紀からでも間に合いますか?

クルマが大好きで、学生時代はよくいじって遊んでいました。地元が愛知ということもあり、就職活動ではトヨタを志望。でも、力及ばずで、第二志望の電子部品メーカーへ入社しました。そこの会社もやりがいはあったのですが、学生時代に見た初代プリウスのCMが脳裏から離れなくて。「21世紀に間に合いました」のキャッチフレーズと共に颯爽と登場し、エコカー時代を切り拓いたあの衝撃が忘れられず。30歳を前にした2003年、「21世紀からでも間に合いますか?」という想いで、トヨタへ入社しました。

入社後は、HVの基幹部品であるパワーコントロールユニット(PCU)を開発する部署に配属。1年目は、昇圧コンバータという、200Vのバッテリ電圧を650Vまで引き上げる電力変換器の開発を任されました。トヨタは、初代プリウスから社内で設計して製造することにもこだわり、他の自動車会社なら専門メーカーから購入するような部品も内製しています。一方で、何でも内製するのではなく、多くのサプライヤーの最新技術を取り入れていて、その場合も、サプライヤーと一体となって細部まで詰めていきます。最初の3年は学ぶことで精一杯でしたが、設計から試作、評価、量産化まで、一連の業務を担当させてもらい、技術者として大きく成長できました。

問題に直面したとき、答えは必ず現場にある

問題に直面したとき、
答えは必ず現場にある

1年目の春、憧れのトヨタに入社してやる気に満ちていたのも束の間で、いきなり血の気の引く思いをしました。大切な配線図仕様書の出図を任されたのですが、品番を間違えるという初歩的なミスをしてしまったのです。新人にはよくある失敗例なのですが、そのミスに気づいたのが、試作初号車の部品が納入された後。どうやってリカバーすれば良いか分からず、ただ自分の席で悶々と座っていると、当時の上司が黙って試作工場まで連れて行ってくれました。試作車両を前に、どうすればこの部品を手直しできるのか、現場のエンジニアと会話しながら、自ら手を動かし、問題解決に導いてくれました。その後、自分の席に戻ってきた際、上司から優しい口調で「どうしていいか分からないときこそ、現地現物で一緒に考えること。キミには、これができる人材になって欲しい」と言われました。

上司の立ち振る舞いも含めて、強く記憶に残る体験となって、それ以来、何か問題に直面した際は現地へ足を運ぶようになりましたし、現在の部下に対しても、同じような指導をしています。

上司も部下も、となりの部署のあの人も、技術の虫

現地現物主義を教えてくれた上司だけでなく、トヨタには魅力的な人がたくさんいます。そして、人の力こそトヨタの強さ。それを最も感じるのが、問題解決のときの一体感。

2013年、私は念願叶って4代目プリウスのPCU開発を任されました。4年の歳月を費やして開発したPCUは、積層冷却構造や2 in 1方式パワーカードの採用により、従来比33%の小型化を達成。ところが、いよいよ開発から量産フェーズへ移ろうというタイミングで、高い目標としていた熱性能と耐久性能を達成させるため、技術的な壁にぶつかってしまったのです。HVの顔であるプリウスの開発を遅らせることは絶対に許されない。すぐに複数の設計部署と生産技術で「緊急タスクチーム」をつくり、大部屋活動が始まりました。工場に缶詰になり、何が原因なのか仮説を立て、自分たちの手で試作品を組み立て、評価する。このサイクルをひたすら繰り返す。なかなか解決に至らず夜遅くまで残る日もありましたが、こういうときほどみんなの表情が生き生きしているんですよね。役職も、職種も、関係なく、その瞬間は誰もが一人のエンジニアとして、魂を注いでいる。その一体感には、感動すら覚えました。おかげで5ヶ月後には解決。その後、みんなで苦労話を肴に飲んだお酒は格別でした。

HVをコア技術に、世界の電動化に貢献

HVをコア技術に、
世界の電動化に貢献

プリウスの誕生から20余年。トヨタは独自のHV技術に磨きをかけて来ました。これらの技術はHVに閉じたものではなく、すべての電動車に応用できます。私は現在、まさにHVの技術をベースに、EVを見据えたPCUの先行開発に取り組んでいます。

「地球温暖化」「大気汚染」「資源・エネルギー問題」という地球環境問題を解決するという大きな視点に立ち、単なるPCUの性能向上ではなく、その先の燃費・電費、CO2排出量、動力性能、お客様がお求めになりやすい価格に直結していることを強く意識しています。また、コア技術は引き続き内製化しながらも、開発スピードを早めるためには、他社との協業もこれから重要になると考えています。

自動車産業の中でも注目度の高い電動車開発の領域で、内製設計や先行開発という一歩先の仕事ができることが、技術者としてとても幸せです。この環境にいることに感謝しながら、トヨタの電動化だけでなく世界の電動化へ。1997年、プリウスが21世紀のクルマのあり方を世界に示したように、これからのモビリティ社会を切り拓いていきたいです。

所属は取材当時のものです。

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