INTERVIEW

ITベンチャー企業を舞台に、
自動運転の実現を支援する。

技術職情報システムコースH.M

PROFILE

IT革新推進室

物理工学専攻修了 2014年入社

大学時代、ゲームをつくりたくてプログラミングを独学で勉強。一方、大学祭用に「メビウスの輪」型の軌道を走る超伝導リニアモーターカーの模型を同級生と製作し、来場者の歓声にモノづくりの達成感を味わう。専門分野の半導体よりも、「IT×モノづくり」に携わる道を選び、トヨタへ。入社後は各部署のITでの車両開発支援を担当し、現在はベンチャー企業に出向中。

初めて任された案件に、要求以上の機能を盛り込んで

ITに関係する業務を志望してトヨタを選んだ、というと不思議に思われるかもしれませんが、ITS技術の開発に注力しているトヨタで、世界に先がけグローバルスタンダードとなる技術を確立するために、ITを役立てたかった。それが入社の理由です。

新人時代、最初に任された案件は「モデルベース開発」の支援でした。モデルベース開発とは、クルマの開発時、数理モデルやシミュレーションによってあらかじめ性能を予測したうえで設計する手法です。クルマのさまざまな性能は複雑に関係し合っていて、中には「ある性能を高めると他が低下する」というように、相反するものもあります。トータルバランスよく複数の性能を同時に目標達成し、なおかつ商品コンセプトに合ったクルマを実現することが必要。そのための、性能予測ツールの開発と運用支援を担当しました。多種多様な性能の一つひとつを正確に予測するだけでなく、「複数の性能を同時に目標達成するには、設計値をこの範囲にする必要がある」と逆算する機能も盛り込む――そんな工夫も楽しみました。

上司の一言から始まった、AIツール開発への道

上司の一言から始まった、AIツール開発への道

「AIやってみない? 面白そうでしょ」

上司のそんな助言を機に、ディープラーニングを中心としたAI技術を学び始めたのは、入社3年目のこと。ちょうど囲碁や将棋でもコンピュータがプロ棋士に勝ち、話題になっていた時期でした。「開発支援に関しても、AIを使えば何でもできるのでは?」と想像していましたが、学んでみると思った通りの強みがある半面、限界も見えてきた。おかげで、AIを活用するための条件を把握できました。

その知識を活用して取り組んだのが、AIによる各部署の業務の革新です。従来のIT化以上に業務の効率を高めるため、工場や人事など部署を横断した業務革新ワークショップが立ち上げられていて、私もそこに参加。候補となっていた市販のAIツールを、1カ月間にわたり10以上の部署で検証しました。その結果をもとに、AIツールとセットで使うデータ加工ツールや、データサイエンティストによるコンサルティングを含めた運用環境を提案できました。さまざまな部署を見て視野が広がる、情報システム部門だからこその経験でした。

2020年に向け、車両開発へのAI活用に挑む

2018年からは、入社4~7年目の社員を対象とした「修行派遣プログラム」で、ベンチャー企業に出向しています。担当するのは、トヨタが2020年の東京オリンピックでの提供をめざす、自動運転技術の開発支援。自動運転は、自車の位置や道路状況を把握する「認知」と、その情報に基づいた「判断」、そして動きをコントロールする「操作」の自動化で成立します。このうち「認知」「判断」の機能に関して、設計されたものが目標通りの性能となっているかを評価する技術を開発しています。

具体的には、判定に使う「正解データ」を大量に作成するのですが、現状では「クルマに搭載したレーザレーダの反射による信号が、何に反応したものなのか」の判断が、コンピュータにはできないときがあります。そこで、人が正解値を教えてやる必要があります。認知・判断の評価に有効なデータの要件は何か、また、どうすれば1枚の画像から大量の正解データを効率的に得られるか、正解付けやデータ加工に関するルールの整備が必要。そこが難しく、工夫のしどころでもあります。

「修行」という点では、AI分野の最先端技術や営業的な視点を学べています。ベンチャーならではの意思決定のスピード感も刺激的。一方で、外からトヨタを見たことで、隠れた部分の品質まで考え抜くあくなきこだわりや、トヨタ車の世界的な影響力を改めて実感しています。

「学習する完全自動運転車」を、トヨタから世界へ

「学習する完全自動運転車」を、トヨタから世界へ

この先の自動運転の進化を考える際、コンピュータが自分自身で学習していくディープラーニング技術が、一つのカギと言えるでしょう。クルマ自体の認知や判断にディープラーニングが取り入れられれば、運転は人の操作のいらない「完全自動運転」へと近づくことになります。すでに私自身も、ディープラーニング技術をデータ抽出に使う開発支援ツールに利用した経験があります。その知見を、これまでのような開発支援はもちろん、クルマの開発自体にも活かせたら面白いですね。

自動運転には、海外のIT系などさまざまな企業が参入しています。しかしトヨタには、長年クルマをつくり、現在も年間1000万台を世に送り出している実績がある。自社製車両を使い車両データを収集できるという、他社にはまずない優位性があるのです。そのような中で、私もITとクルマの専門家として、完全自動運転車の実現に携わり、グローバルな市場を相手に活躍したい。そして誰もが安全かつ快適に移動できる、交通事故の少ない社会づくりに貢献できたらと思っています。

所属は取材当時のものです。

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